<以下文章の改訂が必要>
◆ 上図はHPCを各種溶剤に溶解して形成されたコレステリック液晶のWAXD曲線です。測定に際しては、Al板に直径2mmくらいの穴をあけ、その上下にエポキシ系接着剤でAl箔を貼りつけ、その間に液状の試料を保持して透過法で測定しました。
・ HPC・メタノール系(60.2%)
・ HPC・水系(61.9%)
・ HPC・ヒドロキシエチルメタアクリレート(ビニールモノマー)系(61.2%)

◆ 上記の3個の曲線の形はたがいによく類似しています。ただし、二つのピークの散乱角は強度は系により異なります。低角側の散乱極大は濃度や温度により変化するので、分子鎖間距離を反映しているとされています。なお、溶剤自体の散乱極大も液晶の広角側のピークに重なっている点は要注意です。水は2Θ=28°付近。その他は2Θ=20°前後。

◆ HPCのコレステリック液晶状態におけるWAXD曲線の形は全体としてHPC固体のそれに類似しています。ただし、固体状態では分子鎖間に溶剤が存在しないので、分子鎖間距離が小であり、低角側のピークは液晶のそれより広角側にシフトしているのは当然です。

◆ 下図は濃度の異なるEC-AA溶液のWAKD曲線です。上図と同様に低角側(2Θ=7--8°)と広角側(2Θ=20°付近)に二つのピークが存在しています。なお溶剤による散乱ピークも重なっています。
 上図と下図におけるWAXD曲線は全体としてよく類似しているのでまとめて議論することにします。

◆ ここで問題が一つあります。前回の記事で示したHPCの単位胞が示すように剛直な分子鎖は平行に凝集しています。しかしコレステリック液晶においては一方向に配向した分子鎖より構成されるネマチック層が少しづつ回転しながら積層しているはずです。このようなコレステリック系にX線を入射したとき回折現象を起こすのかどうかという点です。  ⇒ 次回の記事参照

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EC-07-鈴3-13-EC-AA系-WAX-圧