◆ ポリアミド酸{PAA(PDA-DABA)}のDMAc溶液(29.1%)を冷蔵庫内(~5℃)で保持した際に形成されるPAAと溶媒の溶媒和結晶の熱的安定性を確かめた結果です。
・ 150℃までは球晶の外観も光学的性質も著しい変化は認められません。200℃に加熱すると脱溶媒が起こり、試料はひび割れしました。
・ 最下部に載せたDSC曲線に濃度57.5℃と記されて試料は溶媒和結晶が形成された試料をさらに乾燥した試料です。さらに減圧乾燥を続けてもしても57.5%以上には濃縮されません。いったん溶媒和結晶に取り込まれたDMAcは簡単には離脱しないからです。熱測定の結果は次の通りです。
 57.5%と記されている試料のDSC曲線には150℃付近にブロードな吸熱ピークが検知されています。これは溶媒和結晶からのDMAcの離脱による吸熱ピークです。Cast Filmにも同様のDSC曲線です。
 29.1%と記されている試料は溶媒和結晶と過剰の溶媒が共存する系です。溶媒和結晶に取り込まれている溶媒、溶媒和結晶の非晶領域に含まれる溶剤、フリーの溶媒などの系外への離脱による吸熱ピークが重なるので幅広い吸熱ピークが検知されることになります。吸熱ピークが大であるのはDMAcの量が多いためです。

ミクロラボΠSABAE
改訂日:2020年1月23日、24日、26日


DABA小Fig3-49a-圧
室温 

DABA小Fig3-49c-圧
150℃

DABA小Fig3-49d-圧
200℃

DABA小Fig3-50-圧